反物アップサイクルは、2023年からPaletteJapanが取り組みはじめた新しい事業です。伝統工芸の美しい布が規格外品として廃棄される前に、皆の手で新しい命を吹き込み花咲かせてみませんか?

反物のアップサイクルの難しさ

きっかけは、注染工場の見学の折に偶然目にした規格外品の反物の山でした。浴衣用の生地は、ごくわずかなキズでも、仕立てたときに目立つ位置にきてしまう可能性があり、検品も非常に難しく手間がかかるため、一反まるごと廃棄せざるを得ないと伺い、たいへん驚きました。
規格外品といっても、一見どこにキズがあるのかもわからないほど美しい仕上がりです。浴衣でなくても何か他のものに使えるのでは?と思ったのですが…

そもそも「反物(たんもの)」とは着物一着分の布を巻いたもの。お店でお仕立てをしてもらうために作られた製品なので、キズの部分だけカットして販売する、というようなことはできないそうです。

こんなに美しい布が捨てられてしまうなんて…なんて残念なことだろうと思いました。

美しい生地が捨てられる前に

それならば、もっともっと小さく、元の柄がわからないぐらい小さくカットして、つまみ細工に加工すれば…この美しい染め色を活かすことができるのでは?

そんな思いつきをお話したことがきっかけとなり、工場の方に特別なご協力をいただいて、堺注染を使ったつまみ細工を作りはじめました。

堺注染は、代々にわたって手ぬぐいや浴衣生地として愛用されており、今も職人の手仕事で生地に染料を注いで着色する伝統工芸品です。注染用に手間をかけて織られた柔らかな木綿晒は糸の芯までしっかりと染まり、表も裏も発色が美しいのが特徴です。

つまみ細工のコサージュにすると、この美しい色を気軽に身につけることができます。ストールや帽子につけたり、和装の帯どめや、籠バッグにつけても素敵です。

あなただけの「花いろは」を咲かせよう

堺の伝統工芸である注染染めをたくさんの方に知ってもらい、職人の染めた美しい色を、皆で花咲かせたい、そして少しでも多くの反物を蘇らせたい、そんな思いから「花いろは」は生まれました。

「花いろは」はつまみ細工という伝統工芸の手法に独自の工夫を加えた、ピンセットなしで誰でも簡単につまみ細工体験ができる手作りキットです。反物生地を小さくカットしているので、模様や色の出方がすべて違い、世界にひとつだけのお花ができます。

キットを購入した方には、写真を集めてSNSに花畑をつくる活動にも参加いただき、日本の職人が織り染めた美しい布と、つまみ細工という伝統工芸を、多くの方に知ってもらいたいと考えています。